スピーキング

英語学習にシャドーイングは必要ですか?

今回は「英語のスピーキング向上にはシャドーイングが必要ってホント?」という疑問について考察してみます。

ラブクラフト
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シャドーイングってのは、音声を聞きながら同時に耳に入ってくる文章を声に出してしゃべるやつだな
そのご
そのご
それです

英語のシャドーイング: 中学の教科書にも載っている?

以前の記事でも紹介したことのある鳥飼玖美子さん著の「本物の英語力」に、日本の学校での英語教育でもシャドーイングが導入されている、とあります (中学の教科書にも載っているらしい) 。

またこの本には、

「シャドーイングでスピーキングを向上させる効果があるという研究結果は無い。ただし、リスニングの向上効果があったという研究結果はある」

ということも出てきます。

このシャドーイングのもたらす効果についてはほかにもTwitterの有名アカウントの英語塾講師の方も、

「シャドーイングをやってるからって英語が喋れるようになるわけじゃないが、リスニングには効果がある」

と言っています (これは管理人も同意)。

英語のスピーキング力をつけるにはシャドーイングをあてにするのではなく、英会話つまり実戦投入が基本のようです。

英語のシャドーイング: 疑問がいっぱい?

さて上のほうで日本の学校での英語教育 (中学の教科書にも載っているらしい) でもシャドーイングが導入されていると書きました。

ところが鳥飼さんの「本物の英語力」を参照すると

「なぜ日本の教育機関でシャドーイングが導入されているのか、その経緯や理由がよく分からない

とあります。

そのへんの事情をネットでザックリ見回してみたのですが…

どうもいやな予感がしてまいりました。ものすごく簡単にまとめますとどうやら、

  • 偉いひとがたんなる気まぐれ・思いつきで「やれ」と言ったから (つまり根拠もエビデンスも無し)
  • 教える側(学校)がこの生徒は何回やった・何分やったと行動を数値化しやすいがために、管理するのに重宝だから

といった事情がだんだん見えてくるようです。

ラブクラフト
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なんだそりゃ

 

リスニングとシャドーイングとの関係についてはこちらの記事もどうぞ↓↓

listening to headphone
英語のリスニングができなくて悔しい人向け 【おすすめ特訓法】「英語のリスニング力を向上させる方法がよく分からない」「英検・TOEICでリーディング・ライティングはそこそこ点が取れるが、リスニングと...

 

あと上に挙げた理由とはまったく別に、テクニカルなことの疑問なのですが「私はシャドーイングをやっている」とおっしゃる方々がやっている行動がはたして、そもそもシャドーイングなのか?というものすごく素朴な疑問があります。

つまり、いきなり最初から(とくに学習の初心者の場合)サラサラとシャドーイングできる人は稀なので皆さん何度も文章やスクリプトを読んで繰り返し練習すると思うのですが、

一度聞いて分からなかった文章を見て確認し何度もそれを読んでいるのであれば、それってシャドーイングではなくもはや「音読」ではないでしょうか。

そのご
そのご
という疑問がどうも頭からぬぐえないんですよね。これって管理人だけ?

音読はどうなのか?

鳥飼さんのこの本によると、音読もその語学学習における効果について科学的エビデンスはないそうです。

その一方で管理人自身の経験からいいますと、音読+短めの英語の文章丸暗記がかなり大切だと思っています (おかげで海外に出る以前に英検一級の1次・2次の両方とも一発で合格しました)

ですので音読については、「英単語・イディオム・英文の丸暗記をおおいに助ける」という意味で、かなり効果的だと思っています。

また同時通訳界のレジェンド・國弘正雄さんは一日にやる回数まで決めて毎日1時間音読を励行するというスタイルだったそうです。

しかしそう言ってしまうと、まじめな人だと「五百回やることを死守!」とかになって手段が目的と化してしまうおそれがあるので、その点だけは要注意かと思います。

ラブクラフト
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「まじめの罠」ってやつだな
そのご
そのご
回数だけに固執すると形骸化しちゃってdeliberate practiceにならない恐れありです

Deliberate practiceがどれほど大切なのかについてはこの記事をご参考↓↓

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ディクテーションはどうなのか?

管理人自身も留学する前に実践していた経験から言いますと、ディクテーションがリスニング向上にかなり良いのは確実だと思います。

ただしディクテーションの欠点として某著名英語YouTuberの方など他の皆さんも口をそろえておっしゃるのが、

とにかく、時間がかかる

これが一番のネックだと思います。

さらには常に紙とペンまたは鉛筆を持っていないといけないし、じっと座ってまんじりともせず取り組む必要がある。

そのいっぽう、シャドーイング (の真似事)であれば、紙もペンもいらない。スマホさえあれば部屋の中を歩きながらでもやれます。

ディクテーションは着実に耳が鍛えられてとても良いトレーニングですが、↑のような点がどうしてもいやな方はシャドーイング (の真似事)でもよいのではないかと思います。

ディクテーションをやればライティング力も向上?

それから「ディクテーションをやればライティング力も向上する」といった主張もあるようですが、このへん管理人は「そんなにたいした効果はないのでは?」と思っています。

単語とイディオムのスペル習得のことを言うなら、それらを暗記する作業をしている時点で身についていると考えられますので、ディクテーションはそれをほんのちょっと補強する効果があるかもしれないという程度と考えています。

英語学習とシャドーイングについて: まとめ

では英語学習時のシャドーイングがもたらす効果についてまとめポイントです:

  1. シャドーイングでスピーキング力向上するという研究結果は無い
  2. ただしリスニング向上に効果ありとの研究はある
  3. シャドーイングだと思ってやっているがじつはただの音読になっている可能性がある。もちろん、ただの音読も口慣らし・暗記に有益
  4. ディクテーションも良いのでシャドーイングと比較してみて好きな方をやる

ちなみにご存じない方々のために書いておくと、上のほうで登場した鳥飼玖美子さんは日本の同時通訳の第一人者でもある有名な先生です。

ブログ記事中に登場した鳥飼さん著「本物の英語力」を管理人が読んでいて「さすが」と思ったのが、出典・引用元がきちんと書いてある点です。

日本の英語学習指南本には「専門教育を受けたことのない人が書いた、出典・引用元がほとんど書かれていないもの」が山ほどあるなかで、こうやってきちんと出典を整えているのは嬉しいし信頼がおけると感じます。

そんなまさしくピンからキリまである英語指南本の中でも、誰が見ても文句つけようがない経歴の人が書いた、ウソやハッタリがないまっとうな本だと思いました。

ラブクラフト
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鳥飼さんってコロンビア大学大学院修士課程(英語教授法)そのうえサウサンプトン大学大学院Ph.D.(通訳学)だし、ガチでその分野の専門家だよな
そのご
そのご
最近は自分の語学力検定試験スコアすら公表せずに英語指南本売ってお金儲けする人もいるいっぽう、こんなまともな本もあるのか、と思いました(書評じゃないはずが書評みたいになってきた…)

では今回は以上です。

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J3
英語学習と洋書のブログ管理人のJ3です。 東京とシンガポールほか諸国出張巡りしているけどコロナ禍沈静化しても地獄の円安インフレで日本へ永住帰国できそうにない日本人。主に英語のブラッシュアップたまにシンガポール生活について発信しています。Twitterやってます。

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