「英語の多読って具体的に何をすればいいの?」
という声も多いようなので、今回はとくに英語の初心者・中級者にフォーカスを当てて記事にしました。ぜひご一読ください。
*この記事ではおもに英検準2級を目指して挑戦中の方+それ以上のレベルの方を対象にしています
英語の多読と精読とはどういうものか
見回したところ、
「どのようなものを多読・精読と呼ぶの?」
「精読って何をやるの?」
という英語学習者の方もいらっしゃるので念のために書いておきますと、この記事中では以下のとおりになります:
多読: 大量の英文を限られた時間でどんどん読む作業。いちいち立ち止まって辞書を引いたりすることは原則しない。
精読: 多読の真逆の作業。文法 (文章の構造)、単語、熟語、といった細かい部分まで地道にひとつひとつ調べ上げ、分からない部分をことごとく潰していき完璧に理解する作業。
さてリーディング力向上のためには多読と精読の組み合わせが非常に重要になる、という点は以前↓↓の記事でも解説しました。
じつは上の記事では英語の初心者・中級者に向けた内容にあまり触れていなかったので、この記事ではさらに突っ込んでそれぞれの英語力レベル別ごとに、英語の多読・リーディング向上におすすめのウェブサイト・本を厳選したうえで紹介します。
が、そのまえにまず多読のための本を選ぶときの注意点として、3つの重要ポイントをあげておきます (ここすごく大事!!)
<学習者のレベルに合ったリーダーを選ぶコツ>
以下の条件をすべて満たしていることが基準となります。
- 知らない単語は1ページにつき2~3語以下
- 1分間に8~10行のペースで読める
- 読んでいる内容の大意が理解できる
*リーダー=英語学習者用に書き直した本のこと。
引用元: Oxford Bookworm Library (日本語サイト)
https://www.oupjapan.co.jp/ja/gradedreaders/bookworms.shtml
上の3つのポイントはすごーーく大事な点なので覚えてください (*とくに(1)の知らない単語の数)
上に出てくる「リーダー」とは英語学習者用に書き直した本のことですが、この3つの注意点はリーダーではない本を多読向きかどうか判断する場合であっても、同じ基準で考えれば大丈夫です。
つまり上の3つの重要チェックポイントをすべてクリアしない本は今のあなたの読解力をはるかに超えているので多読用として使うには難解すぎるということです。それら難しい本は「精読」の教材として使うほうにとっとと回しましょう。
英語の多読: 初心者向け+中級者向けおすすめウェブサイトと本
では英語の多読用として初心者向け+中級者向けおすすめのウェブサイトと本をそれぞれ見ていきましょう。
*この記事ではおもに英検2級を目指して挑戦中の方+それ以上のレベルの方を対象にしています
初心者向け ウェブサイトと本
多読のためのウェブサイト:
VOA Learning English
https://learningenglish.voanews.com/
- Beginning, Intermediate, Advancedの3レベルに分かれている。
- 無料でニュースが読めるし、ニュース音声も聞けるし、これらを無料で利用できるのはかなりよいと思う。
多読のための本:
有名出版社がそれぞれ出しているGraded Readers:
英語学習の初心者・中級者が多読するのにおすすめなのが、Graded Readers (以降’GR’と呼ぶ) といわれる本のシリーズです。
このGRとは何かというと、もともと普通に出版された本を英語学習者の英語力レベルに書き直して出版したものなのです。
Oxford Bookworm Library (日本語サイト)
https://www.oupjapan.co.jp/ja/gradedreaders/bookworms.shtml
- Oxfordの名のとおり英国発の出版社。
- 世界的に評価が高くとても有名なGRシリーズ。
- あらゆるジャンルをカバーし、260冊超もの本が揃っている(シャーロックホームズももちろんある。ロビンソン・クルーソー、エレファント・マン、小公女セーラもある)
- 上のリンク先のウェブサイトにある英検の級・TOEIC スコアなどを基準にした「英語力レベル相関表」を見てご自分の英語力に見合った本のグループを知ることができる。
- しかも本だけでなくオーディオブック版も付いているものが多いのでリスニング向上にも使える。
Pearson English Readers (日本語サイト)
https://www.pearson.co.jp/products_services/extensive-reading/
- ペアソンの英語多読リーダーシリーズ。
- ジャンルの幅広さ・冊数・英語力レベル別に本がちゃんと分類されている点など、Oxfordに負けず劣らず充実。
- こちらもOxfordに負けず有名なGRシリーズである。Pearsonは米国の会社で教育事業を何十年も幅広くやっている超有名企業として知られている。
- 以前はPenguin の名前だったが7年くらい前にリーダー事業がPearsonに移り名前が変更。
ラダーシリーズ
https://www.ibcpub.co.jp/ladder/
- 日本が誇る日本人のために作られた「ラダーシリーズ」という名のGR (IBCパブリッシングという日本の出版社が出している)
- こちらも長年販売されてきた有名ブランドである
- 日本発とはいえ、作品数・質とも充実 (シャーロックホームズ、赤毛のアン、ラフカディオハーンの作品、日本の昔話、世界の偉人伝記など)
- LEVEL1 – LEVEL5まで英語力レベル別に分かれる
- 巻末に単語リストが載っているので辞書いらず、かつオーディオブック付きのものもたくさんある
中級者向け ウェブサイトと本
多読のためのウェブサイト:
Buzzfeed (の中にあるBuzzfeed News記事のかずかず)
- Buzzfeed Japanの本社米国のサイト。
- 無料で読める!!
- 簡潔な単語を使った短めのニュース記事がたくさんある。
THE JAPAN TIMES
- 1ヵ月5記事までは無料で読める
- 英語圏の本場の新聞と比べるとより平易な英語で(日本の英語学習者のために)書かれているが、しっかりとした内容の新聞。国際記事もたくさんある。
多読のための本:
上のほうで出てきた「初心者向けの多読のための本 GRシリーズ」(おすすめ3社に絞ってある) は初心者向け (英検4級くらい)~上級者向け (英検準1級から上)まで本が揃っているので、中級者の皆さんはその中からご自分の英語力レベルに合いそうなものを試してみてください。
上級者向け ウェブサイトと本
英検1級の1次試験をすでに合格しているくらいのいわゆる上級者グループに含まれる人は、一般向けに英語で出ている普通の小説・ビジネス書・自己啓発書・ご自分の専門分野に関する専門書をどんどん読んでいけば充分と考えます。
ここでは参考までに管理人が近年読んでいるものを3つだけ下にあげておきます:
The Economist
- 世界中で人気を誇る英国の週刊経済時事ジャーナル
- 2000年代の初め頃にビルゲイツが「ぼくは新聞はとってないよ。だってThe Economist読んでるから」と言ったことで以前にも増してさらに有名になった
- 世界で今なにが起こっているのか要領よくつかめる+出版社独自の分析が入っていて味がある (英国人が自国の問題点を棚上げにして他国のやり方を皮肉をまじえてツッコミ入れる、それを読んだ自分がさらにツッコミ返したくなる、という不思議な魅力がある)
FINANCIAL TIMES
- 英国の誇る経済新聞
- 英語圏では通称’FT’、日本人の一部の皆さんには「赤紙新聞」として知られる
- 世界中で何が起きているかつかめる+FT独自の視点が入っていて味がある(ビジネス・ファイナンスに特化)
National Geographic
https://www.nationalgeographic.com/
- 自然科学の専門ジャーナル。写真がきれいで味がある
- 英語圏では通称’NatGeo’で有名 (日本ではナショジオですかね)
- 学生だった頃に手に取って以来、ときどき自然科学にふれたくなり発作的に買ってしまう
(定期購読しないでバラで1冊だけ発作的に買うことにしてる。その辺の店でナショジオの表紙を真剣な顔で一心に見つめている東洋人がいたらそれは管理人の可能性高)
その他には自分の本業の専門書を読んでいるか人気のビジネス書を読んでいます。このへんはのちほど別な記事で「おすすめビジネス書特集」として書きます。
英語の多読: その意味と注意すべきポイント
地道にいちいち調べながらの「精読」だけでなく、大量の英文を限られた時間に読むという機会を意識してみずから作り「多読」するということは、英語リーディング力向上のためには必要というよりむしろ必須と言ってもよいと考えています。
多読するときは精読とはフォーカスが違いまして、多読では単語や英文構造を調べるといったことは原則せずに、ぐんぐん読み進めていきます。
多読のいちばんの大目標・主な目的は
「ふだんの生活で英文に触れる機会が少ない人がとにかく英文に触れどんどん読む、という作業に慣れる」
ということです。
ですので難解でないもの・継続しやすいものを選ぶのが良いのです。
上のリーディングの記事でも書いたのですが、
「人間は知らない語句がたくさん登場する文章を理解することはできない」
という大原則の鉄壁があります。
その鉄壁にぶち当たってしまうせいで、英語初心者がいきなりThe Economist やらNewsweekやら定期購読してもぜんぜん読めずにあっと言う間に室内インテリア化してしまう、という事例が散見されるわけですが…
これぞ管理人がひそかに「英語学習のビギナーホイホイトラップ」と呼んでいるげに恐ろしき罠なのです。(*英語のビギナーホイホイトラップについては↓↓の記事をご参考)
自分の立ち位置をきちんと把握することなしに自分の語彙力・読解力をはるかに超える高難度の書籍・ジャーナル・英字新聞を一括購入契約してしまうと、あっと言う間に継続できなくなり大後悔というはめになりかねません。
上のパターンはたんにお金を吸い取られてしまう罠である上に、じつに心理的によろしくない影響を及ぼします。
この手の英語のビギナーを飲み込むホイホイ式トラップをうまくかわすためにも、まずはご自分の英語力をしっかりと見据えて把握し、上にあげたようなGR等を活用して段階的に着実に正しい方法で訓練していきましょう。
まとめ: 英語の多読におすすめの本・ウェブサイト
では今回のまとめポイントです:
- 英語の多読も精読も両方とも大事
- 英語学習の初心者・中級者はGRを活用するのがおすすめ
- 英語学習の上級者は普通の小説・ビジネス書・専門書をどんどん読もう
- 英語の多読の意味を理解しないと英語ビギナーホイホイの罠に陥ってしまう
- 自分の英語力レベルを正しく見すえて把握しGRを正しく活用しよう
「英語学習の中級からいつまでたっても上級レベルへ向上できない」
「英語学習が継続できなくて挫折してしまった」
これらは巷でよく耳にする言葉です。
管理人はこれらの言葉はじつは、
「むやみに功を急いてしまうせいか、多くの人がいきなり自分の英語力を超えた難解な本に挑んだあげく英語学習がイヤになってしまい、挫折して放り投げてしまう」
という日本人英語学習者の実態が大いに関係しているのではないか?と考えています。
そんな心理的によろしくない悪の連鎖の罠に陥るのをうまくかわすために、まずはGRで薄い本を一冊完読する。
この「よし、一冊終えたぞ!!やったー!!」という小さな成功体験をどんどん積むことが心理的に良い効果をもたらしますし、ここがすごく大事なポイントであると思っています。
英語は1~2か月の学習で目に見えてみるみる上達する種類のものではないので、時には上達の遅さにストレスを感じることもあります。
しかしその「ストレスを感じる」というのはその瞬間、まさに自分が新しいスキルを獲得しつつあり成長している証拠でもあります。
そしてやがて「ある日、いきなりできるようになっているのに気付く瞬間」が訪れます (そしてまた練習練習の日々)。
ただただ苦しい・辛いだけの拷問ではなく、英語に触れどんどん読み進める楽しさを味わい、ご一緒にさらなる可能性の扉を開いて前へ進んでいきましょう。