今回は
「社会人なんだけど英語の文法はどうやって学んだらいいの?」
「英語の文法がどうしても覚えられないんだけどどうしたらいいの?」
といったお悩みについて考察してみます。
(*この記事は「成人で英検2級合格を目標に挑戦中くらいの段階の人」を想定しています)
英語の文法: 英語コミュニケーションの屋台骨
英文法は英語で文を組み立てる基本ルールですからこれを理解しマスターしないことには、そもそも会話になりません。
まさしく「英文法は英語コミュニケーションの屋台骨」であるとも言えます。
「単語を知らない」「熟語を知らない」といった場合であれば、ぶっちゃけ文章や会話の前後の文脈から推測することでその場をしのぐことも可能です。
会話中であれば「ゴメン、この単語が分からないのだけど」と相手に聞くことすらできます。もちろん状況が許せばですが。
しかしそもそもの文法を知らなければどうなるでしょうか。
仕事中に英語で会話をしている最中に英文法が分からないから相手に聞くなんてまずありえません (お金を払って指導をあおいでいる英会話講師が相手ならいざしらず、これはないです)
だから私は昨今の英文法軽視の日本の学校教育方針と「英文法なんか無視すればいいよ!」と煽り立てているおかしな勢力についてはかなり懐疑的な目で見ています。
英語の文法: 中学卒業レベルをマスターすると後がラク
上で述べたとおり、英文法は英語で文を組み立てる基本ルールですからとても重要なものです。
とはいえ、私自身の経験から言いますと、英語の文法の学習は中学卒業レベルまできちんとマスターしていれば、あとはことさらやっきになって「文法知識を完璧にするのだ!!」とガツガツやる必要はあまりないと思っています。
*もちろん英語教師になるのなら話は別ですがそれ以外の職種で英語をひんぱんに使うというのでしたらこの姿勢でも充分だと考えています。
なぜなら、もう数あまたの英語の達人と呼ばれる人たちがすでに語ってきたことですが、たいていの英会話に必要な文法知識は中学卒業レベルの英文法でほぼほぼカバーできるからです。
別な言い方をすれば、中学卒業レベルよりさらに上のレベルの英文法はごくごく普通の英会話のレベルの、さらにその先のアカデミックやビジネスのレベルへ進めるように派生した文法知識なのです。
英語の文法を学ぶのにおすすめの参考書とは 【英語力レベル別】
では英文法を学ぶ意味と重要さについてここまで理解をすすめてただいたところで、英語学習進度レベル別におすすめの英文法に絞った参考書を数冊紹介していきます。
(*この記事は「成人で英検2級合格を目標に挑戦中くらいの段階の人」を想定しています)
これから中学卒業レベルをマスターしたい方へおすすめ:
中学英語をもう一度 ひとつひとつわかりやすく。
学研教育出版、 山田 暢彦 | 2011/4/12
CDはもちろん、アプリも動画もある!
中学卒業レベルを固めたあとのそのさらに上の段階を目指す中級者の方へおすすめ:
総合英語 Evergreen
(日本語) 単行本 – 2017/1/15
川崎 芳人 / 久保田 廣美 / 高田 有現 / 高橋 克美 / 土屋 満明 / Guy Fisher / 山田 光 (著), 墺 タカユキ (編集)
キク英文法 (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)
(日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2007/5/30
一杉 武史 (著, 編集)
一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法
(東進ブックス) (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2011/9/9
大西 泰斗 (著), ポール・マクベイ (著)
上にあげた中級者向けの本を完全マスターしてしまったレベルの人は、ご自分でマニア向けの書籍を日本語ないし英語でリサーチ可能と思いますので、ここでは省略します。
英語の文法: じゃあ管理人はどうやって学んだの?
参考までに書いておきますと自分の場合は高校の英語教師である恩師K先生が超優秀だったせいもあり、大学受験準備当時 (つまり高校3年の時点から)、難関大学受験用の英文法参考書をかなりゴリゴリやっていました。
(あのレベルが高いことで有名な『英文解釈教室』 by 伊藤和夫先生も使ってました。難しい!といろいろな所で言われていますが、やはり名著だと思っています)
*名著ですがフツーに英会話したい・英検2級合格したいという皆さんは使う必要ありませんよ~
結局自分は日本の大学へ行かず海外大学への留学準備に切り替えたので、↑↑のような勉強をやったうえでTOEFLと IELTS 受験用の勉強に入りました (でもここで土台となったのはやはり日本の大学受験用の勉強です。留学のためのTOEFLやIELTS 準備の学習もその土台が無かったら太刀打ちできなかったと思います)
英語の多読にひそむ「英語ビギナーホイホイトラップ」とは?
これは日本人英語話者の中でも英語の達人と言われる方々が軒並み口をそろえておっしゃっていますが、
中学卒業レベルの文法を上に挙げたような参考書でマスターしたら、あとはどんどん多読と精読の組み合わせで「知識を実際に運用する」がかなり重要になります。
管理人もそれにはもちろん同意なのですが、実際に見ているとここで思わぬ罠にはまってしまう人がけっこう多いように思います。
よく聞くのがここで自分の立ち位置をきちんと把握することなしに「よし、どんどん多読するぞ!」といきなりThe Economist とかTIMEとかを2年契約してしまう人。
それ、「英語学習ビギナーホイホイ」の罠かもしれません。このたぐいの思わぬ罠については↓の記事もご参考。
自分の立ち位置をきちんと把握することなしに、自分の語彙力・読解力をはるかに超える高難度の書籍・ジャーナル・英字新聞を一括購入契約してしまう。そしてあっと言う間に継続できなくなり後悔。
上のパターンは英語学習の罠、英語のビギナーをぐんぐん飲み込むホイホイ式トラップなのでひっかからないように注意が必要です。
英語で話している最中に自分の英文法は正しいか?と確認しながらしゃべっている?
数々の日本人英語話者の皆さんが言ってるように、私も英語で話してる最中に英文法のことなんて考えながらしゃべってなどいないです。
これはいわゆるAutomaticity というものでして、脳内で起こる「作業の自動化」のことです。
しかしこのAutomaticityは膨大な練習量を積まないと起こりません。
そこで皆さん(オンライン)英会話教室などを利用したりして会話の練習を積むわけですが、(オンライン)英会話については、あまりに語彙力も文法力もない状態でいきなり始めてしまうと、
「ぜんぜん話せないうちにあっという間に時間切れ (泣」
となりただ高いお布施を払っただけという悲しい状況になってしまいかねません。
そのような残念な状況に陥らずに(オンライン)英会話を上手に会話力向上に活かすためにも、(オンライン)英会話を利用する前にまずはひとりで、
「今、自分の眼に見えているものごとをあるレベルまで英語で説明できる」
というレベルまで英語運用力をつちかっておく必要があります。
そのためにはまずは「英語で独り言」をどんどんやることを私はおすすめします。「英語で独り言」については下の記事でも触れていますのでご参考:
まとめ: 英文法はとても大事だがやり過ぎないのがコツ
では今回のまとめポイントです:
- 文法は英語コミュニケーションの屋台骨である
- 英語の文法は中学卒業レベルまでマスターしておくべし
- 英語の多読にひそむ「ビギナーホイホイの罠」に注意しよう
- 超ビギナーはまず英語で独り言をやることから始めよう (対面式・オンライン英会話教室はそれからでも遅くない)
上のほうで述べた通り、文法は英語コミュニケーションの重要な屋台骨です。
にもかかわらず、ここ20年ちょっとで日本の学校教育では英文法軽視のおかしな風潮が蔓延したせいで、そのせいで学校によっては文法の指導がかなりずさんなことになっていると専門家にも指摘されています。
しかし不運にしてそのような学校に当たってしまった方も嘆くことはありません。大丈夫です。
英語の文法は基礎 (中学卒業レベルまで) をしっかり固めれば、あとはどんどん英文を読むことで自然と長い文章でも読みこなせるようになります(もちろん同時に英単語・熟語を覚えるべし)。
しかも文法はバラエティーが少ないうえに短期間でコロコロ変わってしまうことがないので、いったん基礎部分をガッチリ強化したらあとはガツガツ知識のアップデートをやり続ける必要がないのです(!!)
(単語はそもそも数が死ぬほど膨大しかも常に新しい単語が生まれるので、一生かかっても暗記完了するのはムリ)
英語は1~2か月の学習で目に見えてみるみる上達する種類のものではないので時には上達の遅さにストレスを感じることもあります。
しかしその「ストレスを感じる」というのはその瞬間、まさに自分が新しいスキルを獲得しつつあり成長している証拠でもあります。
しかも英語力は急激に一気に直線を描いて上達することはなく、コツコツ練習、さらに練習の日々から「ある日、いきなりできるようになっているのに気付く瞬間」が訪れ、また練習練習の日々…その繰り返しです。
ストレスをうまいぐあいにかわしながら「いきなりできるようになっている瞬間」を楽しみに、ご一緒にコツコツ練習しましょう!