MISC (その他)

右脳と左脳のあいだで彷徨う私たちと友人の臨死体験

あいかわらず日本でも暑い夏の夜が続いているようなので、ここでまた暑い夏の夜にすこしひんやりしたい読者の方向けの記事を投稿してみます。

(他の『ひんやりしたい人向け』系の記事は↓をご参考下さい)

dyatlov pass incident 2
ディアトロフ峠事件: ロシア当局の発表【英語で調べよう! 企画】皆さんは「ディアトロフ峠の怪奇事件」という言葉を聞いたことがおありでしょうか。 もしくは 「死に山 - 世界一不気味な遭難事...

 

素晴らしき右脳の世界、しかし…

さて以前TwitterでこのTEDプレゼンを紹介したことがありました。

 

https://www.ted.com/talks/jill_bolte_taylor_my_stroke_of_insight

TED Presentation “My stroke of insight” by Jill Bolte Taylor

脳神経解剖学者であるJillさんご本人が37歳くらいの頃に脳梗塞に見舞われた時の驚くべき体験を話してくれており、TED視聴者界隈ではかなり有名なプレゼンですね。

このプレゼン中の08:45あたりでJillさんが言っていることが下の内容になります:

…and because I could no longer identify the boundaries of my body, I felt enormous and expansive…

…そしてもはや自分の肉体と外界を隔てる境目が分からなくなっているせいか、自分がものすごく大きく、はてしなく広がっていくのを感じていました…

*当記事中の和訳はすべて管理人による

これじつは瞑想してる最中に私も経験したことがあります。

意識がどこまでも広がっていく「途方もない爽快な感覚」。

まさにI feel enormous and expansive と言うべき感覚が、果てしなくどんどん広がってゆく。

 

…しかし!!

 

自分の場合、あるレベルまで来た時点でいきなり↓の警告音のようなものがバン!!と全身に響き渡りました

おいこれヤバくね?! このままでは自分は人の形を保っていることができなくなるのでは⁈

(これは実際には「音」でも「言語」などでもない「警戒感・恐怖感」でした)

この時点で爽快な気分に浸り始めてから、けっこうな時間が経っていたように感覚的には感じていました*

そんな爽快感・解放感に満ち溢れた場面で突如、「これは危ない! ヤバい!」の警告です。

一瞬でなんともいえぬほどの恐怖を感じ、現実世界へ意識を急いで引き戻しました。

これはなにも誇張でもなんでもなく、その底知れぬ恐怖感たるや、今思い出しても後頭部の髪が総立ちになり首の後ろがザザーッと冷たくなります

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現に今これを書いている時点で手がこわばってきそうです
ラブクラフト
ラブクラフト
マジか

 

(*これが起こった当時、現実世界へ戻ってすぐに時計を確認したのですが実際にはそれほど時間は経っていませんでした。ほんの数分間のあいだにすべて起こったわけです)

具体的に描写してみますと次のような経過です:

 

MEDITATION

の順に意識状態が変容していったとでも言いましょうか。

あらためて再度Jillさんのこのプレゼンを視聴した今思うのですが、

あれは「瞑想というテクニックを用いてうまく意識状態を操作すれば、人間は(日常の)左脳に偏り過ぎた状態から右脳に意識集中した状態に意外と容易く入ることができる」という事実をほんのわずかながら垣間見たのではないかと考えています。

Jillさんの「私は Nirvana=涅槃の境地を見た」の部分と、臨死体験をした友人の話

さてプレゼン中でJillさんが言っている、“I’ve found Nirvana…Nirvana…” (私は涅槃の境地を見たのです…) の部分(15:00あたり)です。

これを聞くと↑で書いた瞑想中に自分が経験した奇妙な体験のさなかに感じた、自分の肉体から自由になる解放感・とてつもない幸福感を思い出すのですが、

じつはもうひとつ思い出したことがあります。

それは「臨死体験をしたリアル友人」のこと。

3年ほど昔ですが、この友人は罹患すると死に至ることも珍しくない重篤な病にある日突然かかってしまい、長い昏睡状態に陥り文字通り生死のあいだをさまようことになってしまいました(幸いにも現代医学の力と周囲の皆さんの尽力のおかげで回復し今では仕事に復帰しています)。

で、その友人と話していて出てきた言葉というのがですね、

「533さん、幾晩もの長期にわたる長い長い昏睡状態になって、文字通り生死のあいだをさまよっているとね…ある瞬間、それはそれはとほうもない幸福感・恍惚感にすべてが包まれるんだ。

それはまるで極楽にいるような気分で、自分があらゆる束縛から完全に自由になった解放感も合わさってそれはもう、涙が溢れんばかりのすごい幸福感なんだよ。

でもね。しばらくたつと、否応なしに地獄へ引きずり込まれるかのように急に、暗い暗い地獄の底みたいなところへ自分が落ちていき、一生懸命もがくんだ。

それがもう、すごくすごく苦しい、とても辛い。

しばらく必死にもがき苦しんでいると、またそのうちあの途方もない幸福感・恍惚感にすべてが包まれる。

昏睡中はずーーっとこれの繰り返しなんだよ

というものだったのです。

彼が語った描写はよくある多くの方の臨死体験談報告とも合致するところが多いのですが、自分がとくに気になったのが、この多くの臨死体験者が口をそろえて語る「とほうもない幸福感=Euphoria」「自分は極楽=Nirvanaに触れた」という描写です。

オカルト・スピリチュアル要素をすべて排除して考えますと、これらの幸福感の描写はやはり「右脳が見ている世界に意識がひんぱんにアクセスできるようになった状態」であって、

  1. 私の友人を含めた上のような証言をする臨死体験者の多くが肉体(脳を含め)が危機的状況になっている間、その危機を脱するのを助けるために「右脳が見ている世界に意識がアクセスしている状態」に問答無用でもって行かれたのではないか?
  2. あるいは、肉体(脳を含め)があまりにも危機的な状況になっているため通常どおりの意識制御を統制する余裕がなく、通常時はほとんど入れない右脳の見ている世界に簡単にアクセスできるように「なってしまっている」のではないか?

といった仮説が考えられるように思います。

ラブクラフト
ラブクラフト
これは(2) のほうがありそうな気がするな
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もう本当の生命の危機に瀕して肉体の治癒機能のみならず、意識までもを総動員してなりふり構わず戦うことの凄みすら感じられますね

 

右脳の素晴らしい世界に安全にアクセスするには 【課題も多し?】

さて上のJillさんのTEDプレゼンで最後の部分(17:44あたり)で彼女は、

I believe that the more time we spend choosing to run the deep inner-space circuitry of our right hemispheres, the more peace we will project into the world, and the more peaceful our planet will be.

私はわれわれがもっと右脳サイドの深部にある思考回路を使うことにもっと時間を割けば、この世界をもっと平和なものとするためにわれわれは働きかけるようになれるし、ひいては地球全体がもっと平和な星となると信じています

*本記事中の日本語訳はすべて管理人による

と述べています。

この20分足らずのプレゼンの中でJillさんは繰り返し繰り返し、

「人は皆、だれもがそう願い実践してみれば、(普段はアクセスできない)右脳の素晴らしい世界に繋がることができ、心の平安を得て世界がどんなに美しいか真に理解できるようになる」

というメッセージをわれわれに訴えかけています。

個人的には私も、それは人類にとってとても素晴らしいこととなりそうな予感がするし、またこれは非常に美しいメッセージだと思います。

さらに言うと、もしかしたら人類の潜在能力をUnlockする技術への入り口なのかもしれません。

しかしながら現時点で、この「瞑想を用いて意識状態を変容させる技術」かつ「それを命を危険にさらさずに、事故を起こさずに、安全に駆使する技術」は、どれくらい研究がなされていてどこまで解明されているのでしょうか。

この辺りは私も調査不足なのでこれから調べるところです。

また何か分かったら整理してブログ記事にすると思います。

 

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自分の場合、当面のあいだはあの【身の毛もよだつ恐怖感という壁】を乗り越えないことには瞑想を駆使した冒険はここまでですね。安全に冒険するためのデータももっと欲しいところですし
ラブクラフト
ラブクラフト
間違うとトラウマになりかねんし、まず事故でもなったら冗談じゃ済まんからな

最後に瞑想について: おまけ

思い起こせば自分が体験した「人のかたちを保てなくなりそう(な気)になった事件」の数年前にどなたかが、

瞑想中にどこまでもどんどん意識が広がって止まらないので慌ててしまい、思わず頭のてっぺんを手でおさえた

とネットのどこかに書いていたのを読んだことがあったのですが、じつはその当時の自分は、「ププッ そんなのあるわけねーだろ」と苦笑してたんですよね…

 

が、今では完全に自分があほだったと思う。

頭のてっぺんをおさえてた人、誰かは存じませんが笑ってすみませんでした。もうぜんぜん笑えないです。

上で紹介した「瞑想中の奇妙な体験」をした後の現在では、同じような恐怖に襲われ「慌てて頭をおさえる」という行動を反射的にとってしまう、ということも人によっては充分起こり得ると思っています。

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「無知の知」を知るってホント難しいですね
ラブクラフト
ラブクラフト
でも「無知の知」は超大事だぞ
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J3
英語学習と洋書のブログ管理人のJ3です。 東京とシンガポールほか諸国出張巡りしているけどコロナ禍沈静化しても地獄の円安インフレで日本へ永住帰国できそうにない日本人。主に英語のブラッシュアップたまにシンガポール生活について発信しています。Twitterやってます。

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